トレド・セゴビア・アビラ

トレド:文化の交差点 壮大な歴史の街

スペインの中心部に位置するトレドは、キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒が築いた歴史を体感できる、多文化融合の街です。わずかな距離を歩くだけで、荘厳なゴシック大聖堂、10世紀の古代モスク、美しいシナゴーグなど、多様な建築様式を目にすることができます。

「帝都」として知られるトレドは、名高い画家エル・グレコのインスピレーションの源でもあり、彼の絵画にはこの神秘的な街の魅力が色濃く表現されています。歴史に彩られた宝石のようなこの街では、展望台からの絶景、威風堂々としたアルカサル(要塞)、迷路のような路地での散策を楽しめます。そしてアルカンタラ橋やサン・マルティン橋から夕陽を眺める時間はまるで魔法にかけられたような瞬間となるでしょう。

マドリードから80キロ未満という近さに位置するこの街は、一度の訪問だけでは味わい尽くせない魅力を持っています。夜には街や建造物がライトアップされ、幻想的雰囲気がより際立ちます。

トレドはヨーロッパ有数の建築の至宝として知られ、旧市街はユネスコ世界遺産に登録されています。象徴的なビサグラ門、カンブロン門、太陽の門をくぐり、千年以上の歴史を持つ「クリスト・デ・ラ・ルス」モスクからぜひ街巡りをスタートさせてください。ここでは、イスラム文化とムデハル様式の建築の真髄を目にすることができます。

街全体が情熱と文化の物語を奏でるトレドに、ぜひ身を委ねてみてください。

 

セゴビア:古代ローマ帝国の水道橋

セゴビアの玄関口で圧倒的な存在感を放つのが、古代ローマ帝国時代に建造された水道橋です。グアダラマ山脈を背景にそびえたつその姿は、カスティーリャ地方の象徴的な風景となっています。167本ものアーチが、接着剤を一切使用せずに巧妙なバランスによって支えられており、まさに驚異の建築技術といえます。水道橋を抜けると、塔やロマネスク様式の教会、シナゴーグ、ルネサンス様式の宮殿、修道院、美しい庭園や中庭が次々と現れます。中でも、ディズニーアニメにも影響を与えたとされるアルカサル城は必見です。

セゴビアは、バスを使わずに徒歩で散策できる魅力的な街で、歩みを進めるごとに新たな発見が待っています。

 

世界遺産としてのセビリア

水道橋と並んで世界遺産に登録されているのが旧市街です。城壁に囲まれた歴史ある街並みには、「カサ・デ・ロス・ピコス」や「アルホンディガ」、ロソヤの塔、サン・マルティン教会など、数々の歴史的建造物が点在しています。その中でも、最も圧巻なのが「貴婦人の大聖堂」と称されるセゴビア大聖堂です。

また、「バリオ・デ・ロス・カバレロス(騎士たちの地区)」の貴族の宮殿や、旧ユダヤ人街の狭い路地では、まるで中世の時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わうことができます。

次に訪れたいのがアルカサル城です。この城は、まるで小説に登場するような隠し通路を持つことでも知られています。特に、フアン2世の塔にある152段の螺旋階段を登れば、他にはない壮大な景色が広がります。この塔が「船の舳先」と呼ばれる理由や、ディズニー映画『白雪姫』の城のモデルになったと言われる背景にも納得です。

 

アビラ:城壁と神秘の街

アビラの象徴は、存在感を放つ城壁です。ヨーロッパで最も保存状態が良いといわれる城壁に囲まれた街の内部には、石畳の道や中世の趣を感じられる風景、魅力的な教会、地元の郷土料理、そして日常の喧騒を忘れさせてくれる、穏やかな空間が広がっています。

城壁沿いの散策路は1,700メートルに及び、大聖堂やメルカド・グランデ広場、市街地周辺の景色を楽しむことができます。この大聖堂はスペイン初のゴシック様式の大聖堂とされており、城壁に隣接し、要塞としての機能も担っていました。

もう一つのアビラのシンボルは、聖テレサ・デ・ヘススです。街のいたるところで、聖テレサを讃える彫像や、アビラの名物菓子「サンタ・テレサの黄身菓子」などを目にすることができます。彼女の生家址に建てられたサンタ・テレサ修道院や隣接する博物館も必見です。

また、サント・トマス修道院、サン・ビセンテ教会、サン・ペドロ教会も見逃せません。また、アビラの信仰の歴史への理解を深めたい方は、「神秘主義解釈センター(Mysticism Interpretation Centre)」を訪れてみてください。

アビラは、文化、歴史、そして精神性を豊かに兼ね備えた都市です。街のあらゆる場所が物語の一部のようなこの街で、日常から解放され静寂の雰囲気に浸ってみてはいかがでしょうか。